中小企業を取り巻く環境
高度成長期に起業した中小企業の経営者の多くが団塊の世代で、全国の社長の平均年齢は59.0歳と過去最高となり(2014年)、どの業種においても60代の社長が最も多くなっています。
一方、経営者が60歳以上のオーナー企業へのアンケートでは、56%が後継者がいないと回答しており、年間約4万件の休廃業・解散や倒産する企業の中でも、後継者不足に起因する件数は約25%にのぼります。
また、事業承継に関する意識調査では、「事業承継が経営上の問題となると認識している」と回答した企業は86%にも及ぶ一方、自社の事業承継を進めるための計画を持たない企業が30%、計画はあるものの進めていない企業を含めると62%を超え、事業を継続していく上での課題とのギャップが浮き彫りになっています。
※交代率とは、前年と社長の比較が可能な企業を母数とし、社長が交代した企業の割合を算出したもの。
事業承継への問題意識と計画有無
事業承継の選択肢とメリット
後継者不在の問題を解決するためには、大きく分けて4つの選択肢が考えられます。
親族または社員へ承継
メリット
- 事業/会社の存続
- オーナー一族の継続
- 事業や会社がわかる役員等への引継ぎ
- 既存路線の継続(顧客/取引先/理念等)
デメリット
- 後継者不在のケースあり
- 株式移動に時間を要する
- 株式の買取資金不足
- 個人保証を含めたリスクの引継ぎ負担
- 現オーナーの個人保証を外せないリスク
- 経営能力に対する不安
株式上場
メリット
- 経営と資本の分離
- 相続税納税時に株式現金化が可能
- 資金調達力の向上
- 人材採用をより広範囲で実施可能
デメリット
- 上場基準の厳格化
- 上場準備に数年単位で時間を要する
- 上場基準を満たすための環境整備コスト
- 株式の売却につながらず、現金化できない
- 安定的な成長性/戦略の確保が必須
会社を廃業して清算
メリット
- 清算による、資産現金化
デメリット
- 全社員の解雇
- 退職金の割増支払い
- 取引先への影響
- 負債や工場取壊し等による資本の目減り
→場合によっては、借入が増えるケースも - 税務上の負担(法人税/所得税)
第3者へ譲渡(事業承継)
メリット
- 社員の雇用継続
- 取引先との取引継続
- 事業や会社理念の継続
- 事業基盤強化(資金調達、販路、技術面等)
- 現オーナーの個人保証解除
- 資産の現金化
- 税務上、清算に比べ負担減
デメリット
- オーナー一族ではなくなる
関係者に負担がなく、取り組みやすいのが「事業承継」
事業承継のメリット
1
後継者問題の解決
(企業の存続)
2
事業意欲旺盛な会社との協業により相互発展が可能
3
株式売却による
引退後の資金確保
4
後継者又は後継事業者よりも費用・時間面で、加速的な事業展開が可能